近年、自動車の環境性能と安全性を高めるために、車検制度に「OBD車検」という新たな仕組みが導入されました。
特に、OBD車検で旧車と検索している方の多くは、自身の車が対象車に該当するのか、またいつから義務化されるのかといった疑問を持っているのではないでしょうか。
本記事では、OBD車検とは何かという基本から、年式による対象範囲、ユーザー車検での対応方法、さらには認証工場での検査体制までをわかりやすく解説します。
また、法定スキャンツールや対応スキャンツールの種類、診断に使用するアプリの概要、そして車検時にかかる費用についても網羅的に紹介します。
これから車検を迎える旧車オーナーが、制度に備えて適切な準備ができるよう、最新情報を丁寧にまとめました。
■本記事のポイント
- 自分の旧車がOBD車検の対象車かどうか
- OBD車検がいつから義務化されるか
- 使用される診断ツールやアプリの種類
- 車検時にかかる費用や注意点
OBD車検で旧車の義務化と対象年式は?
近年、自動車の安全性と環境性能をより高めるために、車検制度も進化を遂げています。
その中でも注目されているのが「OBD車検」です。
特に旧車を所有している方にとって、「自分の車が対象なのか?」「いつから義務になるのか?」といった疑問を持つ方も多いはずです。
ここでは、対象となる車の年式や、旧車がどのように扱われるのかを具体的に解説していきます。
次の見出しから詳しく確認していきましょう。
OBD車検とは何かを初心者向けに解説
OBD車検は、車の電子制御システムに潜む異常を診断する新しい検査方式です。
簡単に言えば、エンジンやブレーキなどの各システムが正常に機能しているか、OBD(On Board Diagnostics)コネクタを通じてチェックします。
OBDは車載コンピュータに格納された故障コード(DTC)を読み取り、不具合があるかどうか調べる仕組みです。
その結果を基に、保安基準に適合しているか判断します。
これにより、従来の目視や手動点検では見落とされがちな電子制御の不具合を、客観的かつ効率的に検出できるようになりました。
ただし注意点としては、OBD検査は電子制御系に特化しているため、足回りやボディなどの機械的劣化は別の検査で確認する必要があります。
また、通信エラーや診断機器の不具合で誤判定される可能性もあるため、検査当日は安定した通信環境が確保されている整備工場を選ぶことが重要です。
いつからOBD車検は旧車に適用されるのか
OBD車検の義務化は、車の製造年や新規登録日などによって導入時期が異なります。
国産車は2024年10月1日から、輸入車は2025年10月1日から、OBD検査が正式に必須となりました。
まず対象となるのは、国産車の場合2021年10月1日以降にフルモデルチェンジされた新型車、輸入車では2022年10月1日以降の同様の車種です。
逆に、旧車と呼ばれるモデル、たとえば国産では2021年9月以前、輸入車では2022年9月以前の車両はOBD車検の適用対象外とされています。
もっと具体的に言うと、車検証の備考欄に「OBD検査対象車」と明記されているものが対象車種であり、この記載に基づいて2024年10月以降(輸入車は2025年10月以降)、OBD車検が実施されます。
なお、備考欄に記載があっても初回登録から10ヶ月以内、または型式指定から2年以内であれば適用が猶予される場合もあります。
旧車オーナーであれば、多くの車両が対象外ですが、車検の際に一律400円の技術情報管理手数料はかかる点に留意が必要です。
対象車の年式と旧車の範囲(年式による線引き)
OBD車検の対象となるのは、国産車では2021年10月1日以降に型式指定された新型車、輸入車では2022年10月1日以降の新型車となります。
これは消費者が車検証の備考欄に「OBD検査対象」と記載されているかで判断でき、記載がなければ通常はOBD検査の対象外です。
旧車と呼ばれる年式の車、例えば国産では2021年9月以前、輸入車では2022年9月以前に型式指定されたものは、基本的にOBD車検義務の対象外です。
ただし、対象車と記されていても、車検日が義務開始前(国産は2024年9月30日以前、輸入車は2025年9月30日以前)であれば、OBD検査を免除される例もあります。
このため旧車オーナーは、多くの場合OBD検査自体が不要ですが、念のため車検証を確認し、疑問がある場合は業者に相談することが推奨されます。
特に見落とされがちな“備考欄”の確認は重要です。
旧車でも車検時にかかる費用とは
旧車でOBD車検の対象外であっても、車検時には一律400円の「技術情報管理手数料」が必ず課されます。
これは国土交通省の制度変更に伴う費用で、OBD検査の恩恵を社会全体で享受するため全車一律負担となっているためです 。
また、旧車は電子制御診断が不要でも、従来の法定手数料(軽自動車で1500円~、普通車で1600円~)に加え、この400円が発生します。
しかも整備が必要な不具合が見つかれば、追加修理費用が発生する可能性もある点は注意が必要です。
さらに、整備店によっては「OBD点検」のオプション費用(例えば1000~3000円程度)を別途請求する場合もあるので、車検前に見積もりを取ることが望ましいと言えるでしょう。
OBD車検で旧車の診断ツールと対応方法
OBD車検においては、どのような診断ツールを使い、どのように検査が進められるのかを正しく理解することが重要です。
特に旧車の場合、対象外であっても一部診断が行われるケースや、ツール選びで混乱することもあります。
ここでは、実際に使用される「法定スキャンツール」の仕組みや、利用可能なツールの種類、さらにユーザー車検や整備工場での具体的な流れについて詳しく解説していきます。
正しい知識を得ることで、車検への不安を軽減しましょう。
法定スキャンツールとはどんな機器か
OBD車検で必要なのは、「法定スキャンツール」と呼ばれる特定DTC照会アプリを搭載した外部診断機です。
初心者の方にもわかりやすく言えば、車の故障コードを読み取り、国の基準に照らして車検を合否判定する“公認ツール”です。
この機器は車のOBDコネクタに接続して、診断結果をインターネット経由で自動車技術総合機構へ送信します。
そこで特定DTC(法令で不合格につながる故障コード)がないかチェックし、その結果が即座に機器に返されて車検の可否が判断されます。
ただし注意点として、ただ故障コードが消えるからOKというわけではありません。
特定DTCに該当しなければ合格でも、他の異常が隠れていれば修理が必要です。
また、外部診断機や通信環境に不具合があれば診断できないリスクもあるため、信頼できる機器と環境が求められます。
対応スキャンツールの具体的な種類とメーカー
OBD車検に使える対応スキャンツールは、国土交通省やJASEA(日本自動車機械工具協会)が認定した型式だけです。
最新リスト(2025年6月17日現在)には、デンソーDST-010やTCJのTHINKTOOL Master X、G SCANシリーズ、バンザイMST-7Rなどが掲載されています。
これらの製品は「検査専用タイプ」または「整備兼用タイプ」に分類され、価格は専用型で約30~60万円ほどです。
たとえば、TCJのMaster X(約39万円)は幅広い車種対応に加え、ECUコーディングなどメンテナンス機能も備えているため、整備工場に人気があります。
しかし、費用以外にも将来のISO13400通信対応や定期更新が必要な点もあります。
中には2026年以降に新規格対応が必須となる可能性があるため、購入後のアップデート対応状況を確認することも重要です。
アプリを使った診断と特定DTCの取り扱い
アプリを活用した診断では、「特定DTC照会アプリ」を用いて車両がOBD車検の対象かどうか、また故障コード(DTC)が保安基準違反かどうかを読み取ります。
このアプリはWindowsタブレットやPCに導入し、法定スキャンツールと連携して車両情報を読み取り、リアルタイムで機構サーバーと通信します。
その結果、特定DTCがなければ合格、あれば不合格となり、検査結果が瞬時に返ってきます。
この診断方式のメリットは、検査結果が高速かつ標準化される点です。
しかし逆に、アプリやサーバー更新が遅れると最新の故障コードを読み取れず、誤判定につながる恐れがあります。
そのため、定期的なアプリ更新と安定した通信環境の確保が不可欠です。
また、今後は2025年10月ごろにAndroid対応版も配信される予定で、診断時の利便性はさらに高まる見込みです。
ユーザー車検や認証工場でのOBD検査の流れ
ユーザー車検や認証工場でOBD検査を行う流れは次の通りです。
まず申請前に、特定DTC照会アプリを搭載した法定スキャンツールをOBDポートに接続します。
その後、車検証のQRコードや車体番号を読み込み、対象車かどうかシステムが判断します。
対象車なら検査を開始し、サーバー上で特定DTCが照会され結果が返ってきます。
これにより、アプリ上で合否判定が表示され、合格であればそのまま検査を進められます。
この流れは自分で申請するユーザー車検でも整備工場などを通す場合でも同様で、2013年以前にあったような「OBD検査の有無」で車検の可否が変わるものではありません。
ただし、ユーザー車検では自前の検査機器が必要となるため、専門機器の揃った整備工場を利用する方が安全かつ確実です。
認証工場ではOBD確認モードが用意されており、指定工場より柔軟に検査前点検を行える利点もあります。
【まとめ】OBD車検で旧車について
最後に本記事で重要なポイントをまとめます。